迷宮カフェ
命をつなぐ場所がある
そのカフェには、命をかけても守りたい「秘密」があった
その古びたカフェには、訪れる客が次々に失踪するという怪しげな噂があった。落ちぶれた週刊誌記者・榎木田は人里離れた山奥に佇むカフェを訪れていた。うまくネタを掴めば金になると踏んだのだ。美しき店主・マリコの過去は謎に満ちていた。榎木田は客を装って聞き込みを始める。おもな常連客は、気弱なボディービルダーの松浦、婚約者に逃げられたアスカ、頭脳明晰でいつも冷めているスグルの三人だった。榎木田が調査するうち、次第にカフェの秘密が明らかになる。マリコは密かに自殺志願者を募っていた。薔薇の花を身につけて店を訪れるのが合図だった。その客をカフェの二階へと導き、簡単に死ねるというカプセルを見せると、マリコはそこで思いもよらなぬ交換条件を口にする・・・。